昨年度から新しい生活様式になり、もちろん保育園自体も色々と今までのようにはいかなくなることもでてきました。その中で以前は会場に集まって行われていた研修もオンラインという形となったのですが、先日受けた講義では特に日々の保育で実感できる内容のものであったので、こちらでは二点ほど紹介をさせて頂きたいと思います。
一つ目はこんな質問でした。
「フォトレターを毎月掲示しているのですが、保護者に上手く伝わっていない気がする。」
それに対する講義の先生からの答えはこうでした。
「子どもが夢中になっているものや遊ぶ姿をちゃんと写真におさめられていますか?」
なぜその答えかというと、他園で好評なフォトレターにはこのことが共通しているのだといいます。保護者が見ていて知りたい、ぱっと目がいく写真には、子どもが生き生きと遊ぶ姿があり、今ブームが起きている遊び=他のことにも目がいかないくらい夢中に遊ぶ子どもの姿は自然と気になって見てみたくなるのだそうです。また、子どもからもママにそれを教えてあげたくて写真を指さして伝えるようになるそうです。
遊びというのは毎日あるもので、新しい玩具は毎回あるわけではありませんし、新鮮さを維持するというのは簡単なことでは無い、と保育を行っているからこそ特に思いますが、ふと思い返してみて子どもたちをよく観察していると確かに遊びのブームは起きていました。
年長のさくら組でいうと、昨年のハロウィン仮装で扮したオオカミと赤ずきんになりきって遊ぶ「オオカミさん」ゲーム。
その次は、クリスマスに向けて欲しいプレゼントを頭に描いた思い出や、絵本から想像したサンタクロースの印象で未だに根強い人気「サンタクロース」になりきって、ハンカチにプレゼントを包み、寝ている(ふりをしている)友達の側にそっと置いていく、という可愛いらしい遊びが今も熱冷めずに続いています。
そしてじわじわと人気がでているのは、節分の鬼退治からイメージが沸いたようで、ヒーローや海賊、警察などかっこいい人物になりきって鬼や泥棒などの悪を倒す遊びとしてブームが起き、クラスのみんなで役を交代してワイワイと盛り上がって遊ぶ姿も見られました。
…と、振り返ってみましたが、確かにこんな楽しい遊びのブームが起きていることは私達保育者しか知らない場面であるし、またそれをお伝していくことがフォトレターの本質なのだなと今回改めて気づかせて頂きました。
そして二つ目の質問ですが、
「自然が少ない環境の中でどのように自然と触れ合う機会や遊びを提供したら良いのか」
その答えは、
「ほんの少しの自然で良いのです。例えば一つの芽についている葉の観察を始めることから子どもは自然に興味を持つようになるのです」
という答えでした。
これには、昨年の夏頃の出来事がちょうど頭に蘇ってきました。公園散歩の帰り道、誰が教えてくれたのか気付いたのか定かではないですが、一本の木にくっついていた白くて丸い、虫の卵のようなものをみんなで気になって観察しました(初めは「カマキリ」の卵じゃないの?という発言からでしたが)。見守るというとおおげさですが、それ以来、帰り道には必ず誰かが思い出して「まだカマキリ生まれないね~」と保育者に伝えてくれました。
約半年間もの長い間でしたが、子どもたちはずっとそのことを覚えていて見守りを続けていました。これもまた自然に興味を示していたという結果なのではないでしょうか。
これらの話をこうやってまとめてみますと、子どもたちは遊びや興味のきっかけをわざわざ作りこんだり大変な思いをして用意せずとも、ほんのささいなことから夢中になって探求できる力が備わっているのだということが分かります。子どもって本当にすごいです。私も保育をしていく上では、このささいな気づきや興味を持ち続けることを忘れないようにしていこうと思います。